困難を乗り越えてでも目指す場所があるという生き方

秀直です

心の奥底にはいつもこの場所の陰影が脳裏に残存していて消え失せたことは一度たりともない。

三度帰ってくることができた。
「魔女の岩」
「Roca de la Bruja]
「Witchs Rock」
「ウィッチズ　ロック」

ここを訪れた者の心には魔女が住み着きどんな困難でも乗り越えられる力を授けてくれる魔法を海底からそして森から、さらには空からも覆いかぶせてくれるのだ。

目指す場所や目指すものには当たり前のように困難が目の前に立ちはだかる。
思うだけは誰でも出来る。
目指すことを受け入れ足を踏み出した途端、すでに君には魔法がかかっている。

行くべきだ！
そう思い立ち長い年月をかけて準備する苦労は並大抵ではない。
出来るか出来ないかを考えた時それは選択肢ではなく、すでに諦めの呪文が身体を雁字搦めにする。
選択肢などという呪文は取り払い、一直線でピュアな心を貫こうではないか。

ここへ辿り着くには困難の山がいくつも立ちはだかっている。
陸路から入ろうとするなら経験したことのない険しいという言葉では生やさしいほどの山道を越えなくてはならない。
舗装された道が当たり前ならこの大自然と魔女の住処はすでに消滅しているかもしれない。
尖った岩や木の枝が突き出た急こう配の山道を越えた時タイヤは悲鳴をあげてお役御免の交換を繰り返す。
四輪駆動の往復もスペアタイヤは最低４本の準備を怠ることは出来ない。
時速５キロで走る景色の変わらない穴だらけの茨道は行く手を阻みいつ辿り着くかを教えてくれない。

海路から目指せば海底から隆起した火山の溶岩の塊が地形を理解していない者の船底に容赦なく穴をあけ、山からの強烈なダウンウィンドがスピードを奪う。
太平洋の遥か沖から生まれるうねりは船首にぶち当たり大きなしぶきをあげながら昇る太陽の光を浴びて虹色の雨をまき散らす。
船上はびしょ濡れだ。

それでも目指す価値がある。

その目標が明確になった時、見えなかったはずの幸せへの扉が開かれることになる。
いかなる困難も苦しさもそして悩みさえも吹き飛ばし、それをも笑顔で高揚感に変えてくれるのだ。

さあ行こう！
これまで追いかけ追いつけずにいたもう一人の自分の背中を越えに。
猛烈に先を走り次々と夢を切り開いていっていたもう一人の自分と現実の自分とが重なり一つになった時、その夢は目の前の事実となる。

また帰ってこられた。
全てを注ぎ魔法をかけてくれる魔女に会いに来れた。

ここまでの道のりをねぎらってくれた魔女はロックから次への階段へ伸びる長いスロープをプレゼントしてくれた。

「ありがとう！もちろん次の階段を昇らせてもらうよ。」
「だからもう一度困難を乗り越える魔法をかけてくれ。」
私はそうつぶやきながらそのスロープに身体を預け、魔女のパワーを命一杯感じながらまた走りだした。

人生の行方に迷いがなくなった瞬間、幸福感と充実感の幕が高々と上がっていく。