さあ行こう!
宿から歩を進め50歩。
目の前に突如姿を現したのはまさに幻の波マタパロ!
向かい側の岬にはパボネスが、そしてその先にはパナマだ。
瞬間、心が大きく揺れていた。
感動と動揺、歓喜がこみあげてきたのは言うまでもない。
押し寄せる水量たっぷりのうねりが深めの海底岩にぶち当たり、そそり立つ波が緩いスロープを作り出す。
インサイドまでのウォールはグリーンルームを形成し、やがて雪崩のように崩れ落ちるホワイトロックが海底の砂利を思いっ切り沖へと引っ張り込んでいく。
「グワーッ/////ジャリジャリジャリ/////グワーッ/////ジャリジャリジャリ/////」
私達は固唾をのんでじっくりと観察していた。
ほんの4~5分だとは思うがとてつもなく長い時間体が固まっていたようだ。
ファーストコンタクトにしばし思考が止まっていることに気づいたのは片足が海に浸かってからだった。
身体全体が何かに引き込まれるかのように沖へとパドルアウトしていた。
『マタパロの誘惑だ!』
en el cielo!
en el cielo!
海底からなのか、遥か沖からなのか、空からなのか、湾を囲む深い森からなのか。
誰かがそう囁いていた。
コメント