秀直です
世界中の野鳥研究家たちをもめったにお目にかかれないこの上ない美しさを誇るケッツァール。
私達の前に現れてくれたことに感謝と敬意を払い山を下りることにした。
さて次の目的の農園視察へと向かおうか。
ルイスへお礼を伝えようとすると彼は自分の家へ来いと手のひらを上に向けカモンの合図を何度も繰り返す。
「遠い国の日本から来てくれたお前達に家族が会いたがってるんだ、いいだろ」
いつも海の近くで動いている我々にとって、山の中腹で暮らす大家族にお招きいただけるとは嬉しい誤算だ。
こんな場所でと言っては失礼だがどんな生活ぶりなのか興味が沸いてくる。
ここだと案内されたその家は9人家族が暮らすに相応しい立派な平屋。
さすが500ヘクタールの土地持ちの家となると想像を超える素敵で広い家だ。
お決まり万来番犬が出迎えてくれたその先の玄関口を通されるとそこにはママとお孫さん、そして次女が満面の笑みでそして大きく両腕を広げて待っていてくれた。
「Bienvenido! 」
ありきたりで簡単なこんな一言さえ、ケッツァールが何千年もの昔からこの言葉を世紀を越えて運んでくれたようなずっしりとしたそれでいて陽気で気持ちの良い心の奥から放たれた身を包みこんでくれるようなそよ風が吹いたかのようだった。
この人たちは遠い国から訪れたどこにあるかもわからない異国の我々を心底歓迎してくれている。
この時点ですでに感動の波がうねりとなって生まれてくる感覚が走りだしていた。
次には広いテーブルに用意されている大きな皿に手作りのコスタリカ伝統の朝食を盛ってくれる。
これは嬉しい!
朝2時に宿を出て肌寒い山を歩き時間は9時を回っていた。
お腹の虫が鳴きだす前に生唾が胃から登ってきている真っ最中だったのだ。
それを察してくれるように温かい豆ご飯(ピント)やその場で粉を練って焼いてくれるアツアツのトルティージャとプラタノそして卵焼きを満腹になるまで盛ってくれる。
マヨネーズやジャム、牛乳は家の裏で作られる自家製だ。
旨い!
当然食後のコーヒーは地元が誇るドタ・コーヒー。
食後と思いきや目の前に残っているパンにさらに手が伸びたのはお愛嬌。
この土地の驚愕のコーヒー園とそれにまつわる今後のCafe de Marとの繋がりの誕生についても次回アップの記事で是非読んでほしいです。
お楽しみに!
ママのおもてなしは止まらない。
全てのメニューの作り方や味付け、そしてコーヒーの数種類の淹れ方などを丁寧に実践しながら教えてくれたのだ。
目からうろこの隠し味まで伝授してくれる。
完全にCafe de Marのメニューが増えるのは必然的。
そしてこの心こそを誰かに伝えなくてはならない使命感が沸々と湧き上がってくるのを感じずにはいられない。
それこそが私達の出来るお礼ではないか。
地球の反対側にも素敵なおもてなしはきちんと存在する。
自国に誇りを持ちつつも慎まかに広くを受け入れ、またお返しする。
自分が一番偉いわけでは決してない。
自分と他人の心をじっくりと見つめる時間も大切ではなかろうか。
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