BLOGスタッフブログ

BLOGStaff Blog

2

世界一の光沢を持つ翼は時空を超えた神話を運び伝える

BLOG

秀直です

気が遠くなるアラスカからアルゼンチンまでを結ぶ歴史的道路パンアメリカンハイウェイに乗り首都サン・ホセを南へ下る。
本気でアラスカから南米の終点までドライブすればいったいどれほどの時間と体力を要するのだろう。

DOTA(ドタ)に来ている。

海からは程遠い山間地だ。
コーヒーの生産で有名なこの土地は見渡すかぎりの山々にコーヒーの木々が生い茂り、その甘く芳醇な香りを漂わせている。
収穫期の今、出稼ぎ労働者と農家が一生懸命に刈り取りに精を出している姿は日々のコーヒーブレイクを楽しませてくれる全ての者から感謝を伝えたくなる光景だ。

そんな土地に500ヘクタールの山と土地を所有し牧畜と農業、森林事業そしてエコで環境保護を兼ね備えた観光業を目指す9人家族の元を訪れる機会をいただいた。

懇意にしている現地ネイチャーガイドから是非見てほしい世界一美しい鳥に今なら会えるかもしれないと聞かされ、何にでも興味を持つ我々にとって中米にいるからこその経験はかけがえのないもの。
断る理由などない。

朝2時に宿を出た私達は、山々を越えて辿り着いたDOTA村で9人家族の一人息子ルイスと落ち合った。
驚いたことに早朝のここはとても短パンTシャツではいられない。
それもそのはず標高は2000mを越える場所なのだ。
慌ててパーカーと長ズボンを身に付けたのは言うまでもない。

しかし海でも山でもやはりここはPURA VIDAの心は変わらない。
爽やかな笑顔で迎えてくれた。

まだ20代前半であろう彼は早速私達を自分達家族の家へ案内するかのように山へと誘ってくれた。
彼らの家(山)の入り口からはもうあの鳥に会える可能性が非常に高く、緊張しながらじっくりゆっくりと歩を進めた。

数分も歩くと鬱蒼とした森に入っていく。
「サクッ、サクッ」落ち葉や枯れ枝が足元に絡みつく。
彼は後ろを振り返り私達を気遣いながら歩く。
静かにそして鋭い眼光を木々に向け、まさに鳥の鳴き声のごとく口笛をふきながら。

しばらく歩を進めて立ち止まった目の前はあの鳥の大好物だというミニアボガドの木々が生い茂る山林。
ここで待ってみる。

ルイスの発する口笛に答えるように彼らの鳴き声がかすかに聞こえてくる。
「チュッ、チュッ、チュッーーー、グルグルグル」

ルイスは人差し指を唇にあてこちらを振り返り首をその森に素早く回す。
見つけたようだ。

足音さえたてないようにひとけを殺し、じっとその方向を見つめていると、
「ケッケッー、ケッケッー!」

うわ出た!

一瞬だが頭上にブワーッと羽を広げて空中に飛び出した。
と次にはすぐにまた木の中に隠れてしまった。

あまりの早さにカメラワークは全く追いつかない。
レンズ越しよりどうしても肉眼で観たい、いや観るべきだ。
羽を広げたその姿は誰もが想像できる火の鳥だ。
まさに火の鳥はこの鳥がモデルになったものなのだ。
美しい!

しばらく待っていたが現れない。
別の場所に移動したようで、私達も移動してみる。

するとまたもやルイスの口笛に答える反応がある。

彼はいた。
私達の肉眼では探しきれない鬱蒼と茂る木々の奥の枝に誰にも見られないようにそして隠れるように。

少し距離がありかなり小さいがあまりの美しさにその光沢ははっきりとわかる。
息を飲みこみながらじっくりと覗き込むように観察する。
彼らこそが何百年あるいは何千年もの時空を超えた遥か昔からこの美しさを極めたまま今も生き続け、大自然の恵みや大切さを伝えてきている鳥「ケッツァール」。

グアテマラの国鳥で中米パナマまでの熱帯雨霧林の山岳地帯にしか生息しない絶滅危惧種。
その昔その羽は貨幣よりも価値があり、王族の衣装には彼らの羽が使われていたという神話も残っている。

この鳥を一目観ようと世界中の愛鳥家がここに訪れるのだそうだ。
この鳥だけではない多くの動物たちが年々絶滅危惧種としてその数を減らしていっている。

何とかならないものなのか。
人間のエゴはどこまでいっても止まることを知らない。

美しく尊い命を失わせてまでも開発は必要なのか。
豊かさとは何なのか。
考えずにはいられない出会いをくれたことに感謝でいっぱいだ。

これからの未来を作るのは人間だけではない。
今日までの過去は全ての生命が作り上げてきたものであることを忘れてはいけない。

感謝と尊重と調和の絆を深く築き、丸い地球と世界の輪を今一度考えてみてはいかがなものかと思わずにはいられない。

 

RELATED

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP